「推し」こそ生きる希望

愛の花が咲く場所へ

舞台「空想科学劇『Kappa』〜芥川龍之介『河童』より〜」を観劇して

先日、少年忍者の織山くんと青木くんが出演されているKappaの東京千穐楽を見に行ってきたので、いつものごとく書き残していきたいと思います。

 

6/6にon eSTに参加した帰り、その前日に更新された織山くんのブログを友人と読んで、

こんなに頑張っているんだから見に行きたい!!

と強く思いました。

 

ブログの内容は有料コンテンツなので詳しくは書けませんが、織山くんが「死ぬ気でやる」を突き詰めて稽古をしているといった内容でした。

織山くんのダンスの上手さについては一目置いていましたし、あのダンスの才能を持ちながら「歌も頑張りたい」というストイックさ、そしてサマパラなどで演出にまでこだわるステージへの熱意は知っていたので、彼がこんなに死ぬ気でやるを突き詰めた舞台があるのだから見に行こう、といった次第です。

 

 

東京千穐楽の6/13、1階後列センターブロックから観劇させていただきました。

 

 

 

以下、「空想科学劇『Kappa』〜芥川龍之介『河童』より〜」および『河童』(芥川龍之介著)のネタバレを含みます

 

 

 

 

舞台に行くにあたり、事前情報を入れておくかどうか迷ったのですが、どうやら難しい話のようで多少は知っておこうということでレポなどを軽く読み、以下のことを知った状態で観劇しました。

ちなみに原作は読んだことがありませんし、織山くんが以前出演された『ELF - The Musical』も観劇しておりません。

 

  • 主人公(第23号)は精神病患者
  • 物語の最初はほとんど「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」「行ってきます」「ただいま」「おやすみ」しか言わない
  • 青木くんがトランペットを吹く
  • 織山くんのダンスがすごい
  • 見ている方もしんどくなるような内容
  • 河童語を話す

 

 

舞台が始まると、まずびっくりするのが低音の響く音楽。

座席が揺れるくらい低音が響いてました。

 

 

テーブル、椅子、鉄格子の壁が3枚というシンプルなセットに、登場人物のほとんどが真っ白い白衣。

レポの通り精神病棟と思われる場所でご飯を食べ、学校に向かい、帰ってきて、ご飯を食べて、寝るの繰り返しでした。

レポを読んでいなかったらびっくりしちゃうかも、と思うほど続きます。

 

生で織山くんを見たのは初めてですし、生で織山くんの声を聞いたのも初めてだったのもあり「こんな声だったんだ」とYouTubeなどで見る織山くんとは印象が違ったのですが、おそらくロミジュリの道枝くんのように公演をここまで頑張ってきた証ですね。

 

途中から様子のおかしくなる第23号。俯くようになります。

場面転換が大きなSEや音楽とライト演出で転換されるのですが、ひとつひとつが少し怖くて雰囲気があるような気がします。

 

早送りされていったある日、

毎日繰り返される会話のひとつである

「学校はどうだったの?」

「いつもと同じ」

「同じ」

「同じ」

という会話で、最後の第23号は何も言いません。

 

周りがびっくりして何があったのかと聞くと、

「河童の国に3年間行ってきた。どうしてみんな気づかなかったんだ。」

と言い出します。

 

周りは誰も信じてはくれず、第23号がおかしくなっていきます。

 

 

ここでの織山くんのダンスを見て、表現力の高さに息を飲みました。

 

 

雰囲気が変わり織山くんの語りとともに、河童の国へ行く経緯が話されます。ここの長台詞、すごいですね。

先ほどの同じ言葉しか言わなかった第23号から急に可愛らしい雰囲気になります。

 

 

ここからの河童の国での織山くんがめちゃくちゃ可愛い...!

さっきまであんなに感情なくして喋ってたじゃん!?河童の国に行った話をしたときも激昂していて怖い感じだったじゃん!?

これがギャップです。怖

 

 

河童の国では、人間の社会とあべこべなことが多く、当時の社会を風刺している内容です。

織山くん以外の出演者は白衣からそれぞれの衣装に着替え、青木くんも真っ黒な衣装になります。

 

第23号が河童の紹介をし、河童語を習うシーンになります。

紹介のときにはコング桑田さん演じるマッグが、「ちょークールじゃん!」とアドリブを入れていました。

これ、前に織山くんが出演されていた舞台『ELF - The Musical』の織山くん演じるマイケルのセリフなんですね。このあともどこかのシーンでもう一度言っていました。

言葉を習うシーンでは「がっこー!」「べんきょ!」とぴょんぴょんしながら言う織山くんめちゃかわでした。

ちょっとこの後は流れや細かいところまで覚えていないので覚えている限りを順不同に。

 

河童は生まれる時に胎児は「生まれたいか?」と聞かれ、拒否することもできるという話や、そもそも人間未熟のまま生まれてしまう、他の動物は生まれた時から1人で歩けるだろうという話があります。

 

優性遺伝子と劣性遺伝子の話も出てきます。

ここの説明の時に、市川しんぺーさん演じるゲエルと2人とも黙ってしまい、話し始めたらタイミングが被ってしまい、お互い黙るという感じになって思わず客席もふふふとなっていました、可愛い。

 

青木くん演じるバッグのマッピは3秒笑ってでした。

 

吹奏楽部出身(木管楽器だったけど)なので、マッピであんなに演奏できるのって本当にすごいなと感動しました。

そのあとのトランペットでの演奏もめちゃくちゃ上手だった...。

 

 

河童の国の話で「雌が雄を追いかけ回す」という話の時、アイドルの追っかけに通ずるものがあるなあと聞いていたのですが、

そんな時にどうしても自宅までついてきたオタクが原因で辞めてしまった某Jr.くんを思い出してしまい勝手にしんどくなってました。

 

マッグが完成した本を第23号に見せる件で、笑ってはいけないシーンなのに少年忍者のクリアファイルを用意して見せてくるマッグに第23号も思わず笑っていました。

下手側で椅子の上に立っていたのですが、顔を舞台袖側に向けて思いっきり笑ってました可愛い。ちなみに客席も結構笑ってました。

 

 

マッグはその後、自身にピストルを撃って亡くなってしまいます。

 

マッグの葬式を済ませた後、マッグは亡くなる直前にバッグに手紙を送っていたことがわかります。その手紙がきっかけで実はバッグが好きだったんじゃないか、という話で盛り上がります。

第23号はマッグが生前にくれた「阿保の言葉」を読み返します。

 

そういえば焼香の際に、それぞれ回数など特徴が出ていました。

ちなみに第23号は1回でした。

 

マッグの遺体は食肉となり、誰がどの部分を食べるかの話になります。

おそらくここもアドリブ?なのか、バッグは「ヒゲかな」と言っていました。そのあとも「食べたいと言うよりつけたいかも」「それか唇かな」など、いつもより盛り上がったらしく、第23号も食べるかどうか尋ねられる頃には「もう食べるところないな」と言われていました。

いざ食べる時のバッグも笑っていて、みんな楽しそうで面白かったです。

 

その後、第23号は河童の国にいることも憂鬱になり、人間の世界に帰りたいと思い始めます。

ですが、自分が落ちてきた穴を探しても見つからず、どこにあるか教えて欲しいとバッグに尋ねます。

 

バッグ自身は「このあと用事があるからできない」と言います。

バッグは、「街の外れに歳のとった河童が一匹、本を読んだりラッパを吹いているから聞いてご覧」と教えてくれます。

 

 

第23号が街外れに行くと、そこではバッグがラッパを吹いています。

 

戸惑う第23号に、バッグは自身のことを教えてくれます。

自分は生まれる時から80歳くらいの容姿だったと。そして歳を取るにつれ若くなっていくのだと。

今は20歳程度のみてくれだから、自分は60歳くらいだろうと。

 

そんなバッグに落ちてきた穴を教えてもらい、元の世界に戻ります。

バッグは、最後まで第23号にお別れを悲しむ言葉などはかけませんでした。

 

 

しかし人間の世界に戻った第23号は、その匂いや不潔さに耐えられません。

次第に、河童の国へ"帰りたい"と思うようになります。

 

"行きたい"ではなく"帰りたい"。

 

 

人間の世界に戻ってきてから1年後に、前と同じようにバッグを追いかけるところで終わります。

 

最後に無音の中で織山くんがダンスするシーンがあるのですが、ここが瞬きも呼吸もできないほどすごい。

凄いという言葉でまとめていいものかわからないですが、表現力の高さに圧倒され、とにかくしんどい。(語彙力0)

 

第23号が死んじゃうんじゃないか、織山尚大が死んじゃうんじゃないか、と思わされるようなダンスでした。

 ひとつひとつの振りを覚えているわけでも、この時の織山くんの心情がわかるわけでもないけれど、これが織山尚大のパフォーマンスだと強く伝わるダンスでした。

 

 

舞台全体を通して、場面転換やセットの組み替えの時に音楽が挟まれ、セットの組み替え(といってもいたってシンプルなのでほとんどが場所を変えるだけ)は演者さんたちがまるで演技のひとつかのように"魅せながら"の組み替えがほとんどでした。

椅子をくるくる回す織山くんがベストオブベストで可愛かったです。

 

スタオベ後のカテコでは出てきた時に泣いている織山くんと青木くん。

コングさんに振られまずは青木くんの挨拶。

「ジャニーズ以外の舞台に出るのは初めてで不安でした」と挨拶しながら泣いていました。

続いて織山くんの挨拶。

自分が話す時には泣かずにまっすぐ前を向いていて、死ぬ気でやっていて本当に辛そうに「正直言うと、死にたくなりました」と言っていました。

 

 

余談ですが、このはてブを書きながら原作の『河童』を読み、芥川についても少し調べてみました。

作中の批判は当時の社会に対してだけではなく、芥川の周りを取り囲む環境についても批判しているようで、原作もまた読んでいてしんどくなりました。

 

 

芥川龍之介の代表作とも言われる『河童』の座長を務めるにあたり原作を読もうとしたけれど諦めたと言う話を聞きました。

織山くんは自分でも小説を書くほどなので活字を読むことは苦手ではないのかなと思うのですが、諦めた理由はほかのところにあるのかなと思います。

 

 

ここで『河童』についての考察を落とすのも違うかなと思うし(原作とは異なる部分ももちろんたくあんあるので)、第23号を演じた織山くんの心情を考察するのも、彼について明るくない私が考察するのは違うかなと思うのでただの覚書とさせていただきます。

 

そういえば、見学は大好きな阿達くんと小鯛くんでした。

 

 

京都公演も無事に終わりました。

無音ダンスはまったく別用に作られてたものだったのですね。

これからもまだまだ語れそうですが、

ひとまずここで。